新薬の開発に関わる臨床開発職って・・・
- 実際の仕事内容はどのような感じ?
- 1日の業務スケジュールは?
- 就活の職種研究・理解の情報が欲しい!
うーん,よくわからんなぁ・・・
本記事を読めば上記の内容がわかりますよ!
製薬企業の臨床開発に関する情報って少ないですよね.
私も就職活動時は情報収集に苦労しました・・・
そこで本記事では,製薬企業の臨床開発職として働く筆者が職種の内容について解説してきます.
早速見ていきましょう!
本記事の内容
「臨床開発職」という仕事については情報が色々とあって掴みどころがわかりにくいと思います.
本記事は臨床開発のイメージを掴んでいただけるように作成していますので,ぜひご覧くださいね.
- 臨床開発職って?
- 仕事の具体的な内容・仕事のスケジュール例
- 各企業における違いのイメージ
臨床開発職にも色々な業務があります
いきなりですが,「臨床開発職」とは〇〇なんです!というような定義はありません.
業務の内容も企業により本当に様々です.
以下に広義の臨床開発職に含まれる職種を示します.
- 臨床開発部門(例:計画立案や文書作成1これらの業務を臨床開発に関する他部門が担うパターンもあります)
- 臨床開発モニター(モニター,CRA)
- 統計解析
- データマネジメント
- 開発企画・計画
- 品質管理(QA,QC)
- 薬事
一般的な「臨床開発」は上の2つですが,会社によって異なる場合もあります.
ややこしいのですが,
「臨床開発職=〇〇とは決まらず,様々なパターンがある」と理解しておきましょう.
部門としてのゴールは新薬の製造販売承認を得る(=新薬を世に出す)ことです.
このゴールを達成するために色々な仕事の種類があると考えましょう.
本記事では臨床開発部門と臨床開発モニターについて解説しています.
本ブログに関して
本ブログにおける「臨床開発職」は上で列挙した臨床開発部門と臨床開発モニターのことです.
※筆者は臨床開発部門に属し,モニター経験もある人間です.2他の業務には従事したことがありません
仕事内容の見てみましょう
上記で解説したとおり,臨床開発職にも色々とあるため企業HPなどの説明文も様々です.
以下の文章は下に示す記事でも紹介していますが,この文章から臨床開発職の具体的な仕事を抽出してみます.
新薬候補の化合物について,ヒトにおける有効性と安全性を検証・評価するための治験を計画・実施し,治験で得られたデータおよび新薬候補の化合物に関する情報等を集約して厚生労働省へ製造販売承認申請を行い,最終的に厚生労働省から新しい医薬品として製造販売承認を得る.
各文章を切り分けて仕事内容を抽出します.
新薬候補の化合物について,
研究部門が見出した新薬の候補物質を指しています.
※育薬活動によって新しい適応の可能性が出てきた時も臨床開発につながってきます.
ヒトにおける有効性と安全性を検証・評価するための治験を計画 1・実施し 2,
企業にもよりますが,いわゆる臨床開発職が主に携わる部分はここです.3もちろんここの業務が全てというわけではありません.
1:治験の計画を立てる(立案)や治験実施計画書(プロトコル)作成などの部分です.4さらっと書いていますが.治験の計画やプロトコルの作成では統計解析部門やデータマネジメント部門,品質管理などの多くの部署が関与し,相当なエネルギーのいる仕事です.
2:治験実施の中心となるのはモニタリングを担当する部門です.
モニターは通常この部門に所属しており,プロトコルの完成版や各手順書,治験の計画に従って業務を進めていきます.治験は医療機関の協力を得て実施するため,モニターは医療機関に対して連絡・訪問などを行います.5モニターの仕事内容は多岐にわたるため,ここではざっくりと記載しています.
治験で得られたデータ 1 および新薬候補の化合物に関する情報等 2 を集約して厚生労働省へ製造販売承認申請を行い 3,
1:前述の 実施し 2,の部分で大変な苦労をして集めたデータのことを指しています.このデータの質が新薬候補の未来を決めます.
2:研究部門による非臨床試験の結果や製剤に関する情報,添付文書の案など新薬候補の化合物に関するあらゆる情報です.
3:2でまとめた新薬候補に関するあらゆる情報を厚生労働省に提出し,その新薬候補を「薬」として認めてもらい,製造と販売を許可してもらうよう審査を依頼(=製造販売承認申請)します.6正確には新薬候補を薬として認めて問題ないかを実際に審査するのは厚生労働省の所管法人「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」です.
最終的に厚生労働省から新しい医薬品として製造販売承認を得る.
新薬開発のゴールです!
ここを目指してそれぞれの担当者が日々頑張っています.
臨床開発の仕事範囲は通常ここまでで,これ以降については臨床開発職以外の部門が担当します.
- 販売の展開・情報提供(=MR)
- マーケティング・情報提供活動 (=マーケティング関連部署)
- 安全性情報の管理・収集(=PV部門7実際は治験中でもPVは多く関与しているので,新薬が開発されてからしか仕事がないわけではありません.勘違いしていると怒られます.)
- 育薬(=学術・MSL)など
携われる範囲・領域は企業により様々です
上で示したとおり,臨床開発職は関わる業務の幅が非常に広いため企業によって携われる範囲が大きく異なります.以下に一般的なイメージを記載しますので,ざっくりと見てみましょう.
大手・外資系企業
社員数が多く,業務の細分化が進んでいる大手企業では業務の範囲が細かく決まっている場合が多いようです.
モニターはモニター業務専任,プロトコルなどの文書作成は別途担当部署があるなど.
場合によっては臨床開発業務の大部分を外部委託(=CROさんにお願い)して,本社では一部の担当者が管理をしているといった場合もあります.
中堅〜ベンチャー
大手などの比較して人数も少ないため,業務範囲の幅が広いことが多いようです.
モニター 兼 〇〇のような感じです.
こちらも当然,企業によって異なります.
上記の内容はあくまでも一般論です.
実際の業務内容・範囲は企業説明会でその部門に属している社員に質問してみましょう!
モニターの仕事内容:4パターン
ここで,臨床開発モニターにフォーカスを当てて仕事内容を見ていきましょう.
モニターは時期によって忙しさが異なるため,色々なパターンを用意してみました.
【内勤】ゆったり〜
- 9:00-10:00:出社・業界情報やメール確認
- 10:00-11:00:社内会議
- 11:00-12:00:治験関連資料の作成など
- 12:00-13:00:昼食
- 13:00-15:00:モニタリング報告書の作成・医療機関からの問い合わせ対応など
- 15:00-18:00:施設訪問の準備など
- 18:00-:退社
【内勤】忙しいパターン
- 8:00-9:00:出社・医療機関A用の書類準備
- 9:00-10:00:医療機関B用の書類作成
- 10:00-11:00:社内会議
- 11:00-12:00:医療機関Bの続き・・・
- 12:00-13:00:おにぎりを頬張って仕事
- 13:00-14:00:医療機関からの問い合わせ対応,医療機関Cの対応開始
- 14:00-17:00:メール対応,施設への訪問準備・面会の資料作成
- 17:00-19:00:医療機関への提出資料の確認・翌日の外勤準備
- 19:00-21:00:メール対応,モニタリング報告書作成
- 21:00-:準備状況を最終確認し,退社
【外勤】ゆったり〜
- 9:00:出社・メール確認,外勤準備
- 10:00-12:30:移動&昼食
- 12:30-16:30:施設訪問(治験関連のカルテ・書類などを確認)
- 16:30-16:45:CRCさんへの問い合わせ・疑義事項の対応
- 16:45-17:00:医師との面会
- 17:00-:施設を出発し,直帰
- 19:00:帰宅
【外勤】忙しいパターン
- 6:00:自宅を出る.
- 6:00-11:30:移動(飛行機)&昼食
- 12:00-12:30:医師面会
- 12:30-17:00:移動+次の訪問準備など
- 17:30-18:00:別の施設の医師と面会
- 18:00:ホテルにチェックイン 〜翌日〜
- 9:00:施設訪問
- 9:00-17:00:治験関連のカルテ・書類などを確認
- 17:00-18:00:CRCさんへの問い合わせ・疑義事項の対応
- 18:30-19:00:医師面会
- 19:00-23:30:移動・帰宅
明日も早起きして会社行かなきゃ・・・
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モニター以外の仕事は?
モニター以外の業務,例えばプロトコルの作成などの文書作成に関わる業務では通常外勤がないため,会社の中でじっくりとパソコンと向き合っているイメージです.
腰を据えて頑張ってる感じですね.
※モニターも内勤時であればパソコン上で業務を進めています.
内勤パターン
- 9:00-10:00:出社・業界情報やメール確認
- 10:00-12:00:文献整理・文章作成
- 12:00-13:00:昼食
- 13:00-14:00:別部署との会議
- 14:00-16:00:午前中の続き・検討内容の集約・会議調整
- 16:00-18:00:部署内の会議
- 18:00〜:会議結果をまとめてポイントを整理,キリがいいところで退社
外勤に関して
基本的には外勤はないです.
治験に関する医学的な問題についてアドバイスをしてくれる特定の先生8GCPという治験を実施する上で遵守しなければならない規制では「医学専門家」と呼ばれます.の助言を受ける際に医療機関を訪問することがあります.
モニターと比較して外勤の頻度はかなり少ないですが,必要に応じて外勤する場合もあります(これも企業によって異なります)
まとめ:まずは大まかに内容を掴もう
本記事では臨床開発職について大枠を解説しました.
企業ごとに業務範囲が異なるため,一概には言えませんが色々なパターンがあることを知ることができればOKです.
各社の正確な情報を得るには企業説明会やOB/OG訪問などを活用して情報を得るのがベストですので,情報を得られるように積極的に動いていきましょう!